伝統と技、そしておいしさをかねそなえた京の食文化は、京都旅行の目的のひとつ。その場で味わうのはもちろん、お土産として喜ばれる逸品を探す楽しみもあります。今回は、千枚漬をはじめとした京漬物を作る老舗を訪問。京の食文化の奥深さやこだわりを探ってきました。
古き良き街の魅力を知る!
京都事情に精通する野村剛さん
- 村上重本店
- 京都市下京区西木屋町
四条下る船頭町190
TEL 075(351)1737
村上重本店の創業は天保3年(1832年)。180年の永きに渡り受け継いできた漬物は、食材へのこだわりと伝統的な手法、職人さんの繊細な技が作り出す京の味です。その昔、薩摩のお殿様に気に入られ、丸十の家紋を許されたという伝承もあるんですよ。
漬物は、保存食であると同時に、四季を感じられる食品でもあります。現在は、季節を問わずさまざまな食材が手に入りますが、やはり旬のお野菜の味は格別。漬物にすることで、うまみが引き出され、よりおいしくお召し上がりいただけます。
村上重本店 統括部長
斉藤清さん
村上重本店の漬物には、さまざまなこだわりがあります。昆布は最上級のものを数種類用意し、うまみを引き出すために切り方を工夫。聖護院かぶらは色白で身が引き締まった丹波地方のものを使います。丹念に皮をむいたかぶらを厚めに切って重石でじっくり押すことで、薄くてシャッキリ、繊維がぎっしりつまった千枚漬に仕上がるんですね。
重石や塩の塩梅は、気温や湿度を見ながら加減。職人の繊細な感覚と、熟練の技が要求される工程です。じっくり寝かし、頃合いになってはじめて店頭へ並びます。旬の野菜のうまみと漬物の風味、両方感じていただけたらうれしいですね。
村上重本店 技術顧問
岡本好弘さん
- アクセス
- ・阪急電鉄/阪急京都線 河原町駅から徒歩約2分
・京阪電車 祇園四条駅から徒歩約5分
老舗の風格漂う村上重本店の隣には、洗練されたおしゃれなビルがたたずむ。村上重本店が運営するこのビルは2013年リノベーションされ、美・食・アートを楽しめる京都の新しい文化発信の場として生まれ変わった。建物内には、レジデンスタイプの宿泊施設、クリエイティブなレストラン・カフェ、多目的なギャラリーなどがそろい、新たな京都の一面を見ることができる。